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アメリカ歴史博物館リニューアル・オープン / National Museum of American History [美術館]

長い間、改修のため閉館していたアメリカ歴史博物館(National Museum of American History)が、11月21日(金)にリニューアル・オープンしたので行ってきました。
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早朝からオープニングセレモニーが行われ、10時過ぎに到着したときには、館内はたくさんの人で溢れかえっていました。
広いロビーは人で一杯で、学芸員たちが、展示内容にあわせたコスチュームを着て、説明をしたり、記念撮影をしていました。オーケストラによる演奏会なども催されていました。
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一部準備中の看板のかかったスペースもあり、全てを公開されている訳ではないようです。地下のカフェも仮営業のような形でした。

館内の全ての展示については書ききれないので、主に「アメリカの交通(Transportation and Technology)」1階東について紹介します。
ここは、馬車から列車、車への交通手段の発展と、それに伴う交通網の発達が、いかにアメリカ経済を繁栄させ、アメリカ国民の生活を豊かに変化させていったかを、時代を追って、実物の展示や模型などで判りやすく紹介しています。

最初に目に入るのが、ジョン・ブルと呼ばれる1831年に英国から輸入された蒸気機関車で、ニューヨークとフィラデルフィア間を走りました。米国でも最も初期の機関車だそうです。
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その後鉄道網は急速に発達し、例えばカリフォルニア州サンタ・クルーズという町でも町興しのため鉄道を引き、この機関車(ジュピター号)を就役させたそうです。1876年のことでした。
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1930年ごろまで鉄道はアメリカにおいて一大産業として成長しましたが、その後急速に自動車にその立場を譲る事になります。
下記の写真は1927年ごろ南部鉄道で活躍した蒸気機関車1401号です。
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自動車が大衆のものとなる以前の1900年ごろまでの人と貨物を運ぶ地域の輸送機関は馬車でした。
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同じ頃大都市、例えばワシントンDC市内では市電が発達していたそうです。
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しかし、自動車が登場すると直ぐに人々は車を駆って悪路の内陸へと進みます。
これは1903年の初期のドライバーです。
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米国ではヘンリー・フォードによるT型車の大量生産によって、一般市民にも自動車が手に入るようになりました。1930年頃に自動車台数は2500万台にも達したそうです。
これは映画「怒りの葡萄」をモチーフにした展示です。
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自動車の発達で極めて重要なことが教育界に起こりました。
それまで、アメリカでは地方の子供達は地元の小さな学校・・・・教師1人が全ての教科を年齢の異なる生徒達に教える寺子屋方式。「大草原の小さな家」や「ドクタークイン」で子供たちが通っていたような学校のイメージだと思います。・・・・に通っていましたが、自動車の発達と共にスクールバスが登場したので、子供達は大きな学校へと通う事ができ、教育水準が著しく上昇しました。
1932年には全米で、6万3千台ものスクールバスがあったそうです。
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しかし逆に車社会の発展は、都市部に住んでいた富裕層が、郊外の環境が良い新興住宅地に移り住み、残された貧困層がダウンタウンに取り残され、スラム化していったという弊害も生み出しています。

ここに展示されている内容は、かつて我々日本人がテレビなどで見ていた、「何でも揃った豊かな憧れの国」をそのまま具現化したものです。アメリカ人にとっては、誇らしげな気分になるものなのでしょう。

「アメリカの交通」では(ここだけですが)、説明文の日本語翻訳モニターがあり、とても分かりやすかったです。
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さて、アメリカの交通を離れて、この博物館の目玉の一つの「Star-Spangled Banner」と呼ばれる巨大な星条旗の展示スペースへ行きました。

展示されている星条旗は1812年から始まった、米英戦争時にボルチモアのマックヘンリー要塞に掲げられた実物です。
9×10メートルを超える大きなもので、風雨に晒された期間も長いため痛みがひどく、ガラス張りのスペースの中に厳重に保管展示されていました。

当時、イギリス軍がマックヘンリー要塞を攻撃するも、へんぽんと翻り続けるこの星条旗を見て感激したフランシス・スコット・キーにより、国歌「星条旗」が作詞されました。
現在の国旗とは異なり、星と紅白のストライプ数がともに15あります。
アメリカの国宝の一つです。残念ながら、実物は撮影禁止となっています。
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国旗に対して特別な思い入れを持つお国柄なので、たくさんの人が並んで、入場制限をしていました。
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入場を待つ間、昔の軍服を着たおじさんと一緒に写真をとりました。この日は、オープニングデーのため、記念品を配布しており、かぶっている星条旗の帽子と、「Star-Spangled Banner」のピンバッジをいただきました。
星条旗の帽子は、邪魔なのでかぶって館内を歩いていると、「どこで貰ったのか?」とか、「何時に貰えたのか?」とか、何人もの人から声をかけられてしまいました。
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大統領の展示スペースには、早くもオバマさんが加わっていました。たくさんのアメリカ人はここで写真を撮っていました。ここでもオバマ人気にあやかろうとしているようです。
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このほかに、独立戦争から、イラク戦争にいたるまでの、アメリカの戦争と政治の歴史をかなりのスペースを割いて紹介していました。
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ここは、アメリカが大国に成長してゆく歴史の光の部分を、科学、医療、文化、政治、軍事、経済、産業などさまざまな分野を通じて、紹介しています。
現在の金融危機、失業者の急増が、過去となったとき、ここにどのように展示されているのでしょう?今やアメリカだけはなく、世界中の問題でもあるので、乗り越えたときにまたひとつ、アメリカの誇りとなる展示となっていて欲しいものです。
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National Gallery / ワシントンDC 国立絵画館 [美術館]

ワシントン・国立美術館です。
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今年4月から今回2回目の登場です。ここは欧米の名だたる名画や彫刻などを収蔵する世界でも屈指のギャラリーです。一日ではとても全てを見ることのできない広大な館内は、無料で公開されています。
メインの西館内部は、中央に荘厳な円形ロビーがあり、
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ロビーから東西に彫刻回廊が広がり、
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回廊の南北に展示室が展開されています。

やはり足を運んでしまうのは、フェルメールです。
「手紙を書く女性」「天秤ばかりを持つ女」
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二点とも幅40センチあまりの小さな作品ですが、荘厳さにあふれ、とても存在感の強い作品です。

「赤い帽子の女」
フェルメール自身の自画像という説もあるそうです。確かに他の作品に比べ、女性的ではない面立ちをしています。そんな点に気をつけて鑑賞するのもまた楽しいものです。
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「フルートを持つ女」
こちらは”フェルメールの作品と推察される”という枕詞付きです。絵の具の材質までも他と比較され研究されているそうなのですが、真偽は未だ解決されていません。いつの日か論争に終止符が付く日が来るのでしょうか?
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こちらはレオナルド・ダ・ビンチ「ジネヴラ・デ・ベンチ」ですが、フランスで発見された「ラロックの聖母」という作品がダ・ビンチのものかもしれないと言われているそうですね。ラファエロの「フルートを持つ女」もそうですが、一体どのような人々が真贋の最終判定をするのか?意見が合わなければ、論争の決着は付かないものなのか?難しい世界ですね。
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ルネサンス時代のダ・ビンチと並び称される画家の一人、ラファエッロの作品もありました。
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教科書で見たことのある作品です。幼子の愛くるしさと聖母マリアの慈愛に満ちた表情が記憶に鮮明で、まさか、実物を見られるとは思いもよりませんでした。

15世紀くらいの西洋画は寓意が盛り込まれた宗教画独特の雰囲気が強くあまり馴染めませんが、ラファエッロの作品は純粋に美しいと感じられます。

肖像画にしても、個人主義の時代を迎えた当時の作風らしく、人間味溢れた感じがします。
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他に目を惹いたのが、ラ・トゥールの「マグダラのマリア」です。
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鏡の前で懺悔するマグダラのマリア。
光と闇が印象的な作品です。蝋燭の明かりに照らされ浮かび上がるマグダラのマリアは幻想的で、手を置いた髑髏のシルエットが禍々しくもあり、官能的でもある、ミステリアスな絵画です。
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ラ・トゥールは同じタイトルの作品を全部で4点描いたそうで、そのうちの1点がニューヨークのメトロポリタン美術館にもあります。
上の作品とは異なり、こちらの鏡に映し出されるのは蝋燭のみです。残り2点の作品の構図はいかなるものなのでしょうか・・
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そしてお馴染みの巨匠たちの作品の数々・・
1.jpg3.jpg20081120-22Washington092.jpg2.jpg4.jpg5.jpg6.jpg7.jpg8.jpg9.jpg20081120-22Washington109.jpgP1010370.jpgP1010386.jpgP1010388.jpgP1010402.jpg10.jpg

今回4度目の訪問となりましたが、何度行っても飽きない場所です。無料というのも魅力的で、ワシントンに住むことがあればきっと何度も何度も足を運んでいたことでしょう。
こんなにも多くの名画を見ることができて本当に幸せでした。
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The Philips Collection / ルノワール「舟遊びする人々の昼食 」 [美術館]

先日2泊3日で、ワシントンDC博物館巡りをしてきました。

まずはThe Phillips Collectionを訪れました。


The Phillips Collectionは、ワシントンDC市内の大使館街の瀟洒な町並みの一角にあります。少し離れたところには日本大使館もあります。
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コレクションの質の高さは、今まで訪れた美術館の中でもトップレベルです。
ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ピカソ、ホッパーなどの巨匠の多くの名画が展示されていました。
2006年に改修されたばかりの新しい館内はとても明るく、印象派の作品から現代アートが展示されていて、特別展も開催されています。
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新館と渡り廊下でつながっている旧館は、フィリップス氏の邸宅です。
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風格のある屋敷内の各部屋には、ゴヤ、クールベ、エル・グレゴなどの比較的古い年代の絵画も展示されていました。
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展示作品の中でも、ルノワールの「舟遊びする人々の昼食 」が圧巻でした。
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若者たちが休日の昼下がりの時間を楽しんでいます。全体を眺めても、部分的に眺めても・・・20081120-22Washington222.jpg
人物一人一人がとても生き生きと描かれていて、ボート上の賑わう音が聞こえてきそうです。それぞれの場面でどんなお喋りをしているのか、想像をかき立てられます。
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何やら言い寄られて、頬を紅く染めて困ったような表情のお嬢さん。後ろのちょっとニヤけた表情の男性は二人をからかっているのでしょうか?
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うっとりと、いつまで飽くことなく眺めていました。
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