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MoMA / ニューヨーク近代美術館 [美術館]

久しぶりのニューヨークです。

現在ニューヨーク近代美術館で、「Van Gogh and the Colors of the Night(ゴッホと夜の色彩)」展を開催しています。
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ゴッホは27歳で画家を志し、37歳の若さで他界しました。その10年という短い間に描かれた、夜の風景画を制作順を追って鑑賞できる貴重な特別展でした。

ゴッホが描いた夜の光景は光にあふれています。晩年の作品ですが、この頃には彼の目には月明かりはもとより、星明かりでさえも苛立たしいほどに眩しく感じられたのでしょう。うねるような月と星星の光に照らされた、濃密な空気感が漂う夜景を描いたこの絵はあまりにも有名です。
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初期の頃に描かれた農村の民家の夕食風景です。
全体的に暗い色彩ですが、キャンパスの中の人々の目の奥の光が人物を生き生きとさせ、皿から上がる湯気が部屋全体の温もりを伝えています。
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初期のころは比較的暗い色調ですが、穏やかで、温もりが伝わってくるような感じがしました。
ゴッホの作品の傑作と謂われている作品の多くは、他界する前2年間に描かれたものが多いとされています。
原色を多用した強烈なインパクトのある作品を描いた背景をもう少し知りたくなってきました。
今後関連書籍を読んでみたいと思います。

別の階では、ミロの特別展も開催されていました。
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シュルレアリズムでも、写実的に描くダリとは違って、ミロの作品は対象が徹底的に抽象化されています。このような近代アートは難解で、じっくりと眺めることが今まであまり無かったのですが、「近代美術館」だけあって、流石にそういった作品が多いので、観念して向き合ってみると、あら不思議・・・
難しい表現はできませんが、ポップな色使いの作品からは音楽が聞こえてくるような感じがしてきました。
これを機に、食わず嫌いはやめてじっくりと鑑賞してみようという気持ちになってきました。

以下、常設展から抜粋です。
Edward Hopper 「Gas」
ホッパーは有名な画家ですが、まとめて見る機会がなく非常に残念です。こちらMoMAでも現在はこの1点のみの展示でした。
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Andrew Wyeth 「Christina's World」
アメリカに来て知った画家ワイエスは好きな画家の一人です。荒涼とした草原に倒れこむ中央の女性の後姿に脆さと、寂寞感を覚えながらも、右上に家があることで、不思議と力強さと強い意志を感じる、ミステリアスな作品です。
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Claude Monet 「睡蓮」
縦2メートル、横4.25メートルのキャンパスが3枚並んでいる超大作です。「睡蓮」シリーズは何枚もありますが、こんな大作は見るのは初めてです。80歳という高齢で描いたとは思えない、自然のエネルギッシュな躍動感に満ちた作品には圧倒されました。
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Salvador Dalí 「The Persistence of Memory(必要なる記憶)」
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Marcel Duchamp 「自転車の車輪」
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Gustav Klimt 「Hope, Ⅱ」
妊婦と、祈りを捧げる女性。腕の下から覗く小さな顔は死神だそうです。邪で退廃的ながらも官能美にみちた作品はクリムトの真骨頂ですね。
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Marc Chagall 「I and The Village」
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Vincent van Gogh 「Portrait of Joseph Roulin. Arles」
ゴッホが逝去する直前まで親しくしていた郵便配達員の肖像画です。
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Paul Gauguin 「The Moon and The Earth」
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Pablo Picasso 「アヴィニヨンの娘たち」
この作品は修復に修復を重ねられたそうです。普通それほど状態が良くない作品は一般公開せず温度湿度が調節された倉庫に厳重保管するのが普通なのでしょうが、敢えて公開しているMoMAの方針には驚かされます。
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Andy Warhol 「Gold Marilyn Monroe」
これはウォーホールが変死を遂げた人々を描いた、デスシリーズの一環だそうです。ポップアートのイメージが強かったウォーホールの作品ですが、解説を聞くと、意味深で宗教的で、意味を模索する思索に陥りそうです。
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NY・アメリカ自然史博物館 [美術館]


先日、アメリカ自然史博物館へ行ってきました。



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この博物館の目玉は何と言っても、4Fの恐竜たちの骨格化石の復元展示で、充実しています。
私たちが良く知っている獣脚類の肉食竜や大型の草食竜
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これはトリケラトプスです。
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ただ今回piccoが紹介したいのは、博物館の中で余り目立ちませんが、ネイティブ・アメリカン(インディアン)のコーナーです。
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piccoは米国で何箇所かネイティブ・アメリカンに関する資料館等を見て回りましたが、ここが最も丁寧かつ分かりやすい展示となっています。
実物大の復元や、
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道具の復元展示、
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模型での展示で極めて充実しています。
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ネイティブ・アメリカンと言えば、米国では中・西部のことと思いがちですが、17世紀のヨーロッパ人の入植時にはここ東部でも彼らの大きなコロニーが存在しました。
米国の感謝祭は、1620年の冬にピルグリム・ファザーズ達が食料入手に困窮しているとき、先住民であるワンパノアグ族から食料を分けてもらい、生き延びることができたことに対する感謝から始まったとされます。
しかし、東部ではヨーロッパからの入植が進むにつれて、ネイティブ・アメリカンが一方的な圧迫を受けるようになりました。
特に、1755年~1763年のフレンチ・インデアン戦争では、ネイティブ・アメリカンがフランス軍と同盟してイギリス・アメリカ植民地軍と戦ったため、彼らは東部から一掃されることとなりました。(その他、ヨーロッパの天然痘等の病気の流行もあります)

当初は友好で始まったネイティブ・アメリカンと入植者の関係は、悲しい事に西部の荒涼とした居留地に彼らを追いやるまでになってしまいました。
ネイティブ・アメリカンの暮らしは、piccoにとって親近感を与えるものでした。
彼らの素朴な生活、
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道具類・・・臼や杵、土器類を見てびっくりしました・・・・私達の弥生人と変わりません!
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博物館には中南米のオルメカ、マヤ、アステカ、インカに関するコーナーもあります。
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見てのとおり・・・ご存知のとおり極めて特異な文化です。
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南北アメリカには、氷河期にベーリング海峡を渡ったアジア人達が先住民として各地に文化を切り開きました。
ただ、piccoにとって解せないのは、ネイティブ・アメリカン達の文化と中南米の文化が極めて異質なことです。
同じ先祖から分かれた両者なのに、どうしてこうも文化の形が違うのでしょうか?

いろいろ勉強となった一日でした。
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ボストン美術館 [美術館]

イサベラ・スチュワート・ガードナー美術館を後にして、ボストン美術館へ行きました。
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両美術館は歩いて10分ほどの距離にあります。
また、ボストン美術館は地下鉄グリーンライン(E)のMuseum駅の目の前にあって、交通は大変に便利です。

この美術館は古代エジプトから現代美術までと広範囲に及び、収集品の質もずば抜けています。
特に、日本美術の収集にかけては世界有数の美術館だそうです。
何でも10万点もあるとか!
Piccoの期待も膨らみます・・・・・・が・・・・・・・

日本美術は収集品の多さに比べて展示スペースが足りないようです。
1Fの展示場は相撲の浮世絵の特集となっていましたし、2Fでは屏風絵(これはこれで価値あるものですが)中心の展示でした。

収集品全てを展示できない事から、どうも時期によって内容を入れ替えているようです。
本当は「平治物語絵巻 三条殿焼き討ちの図」(日本にあれば国宝となっていた)や鳥山石燕の「百鬼夜行図」を見たかったのですが、残念でした。

さて気分を変えて、代表的な収集品の一部を紹介します。
レンブラント、ターナーの作品です。
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これは大作でモネの「日本娘」です。
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ルノアール、ゴッホ、ゴーギャンの作品群です。
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これは、以前紹介しましたメトロポリタン美術館にあったルーラン夫人像と同じ、ゴッホの連作でボストン美術館所蔵のものです。
よろしければ、メトロポリタン編と比べてみてください。
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Piccoの好きなバルビゾン派の作品も。
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特別展では、「エル・グレコからベラスケス」展と「アントニオ・ロペス・ガルシア」展でした。
エル・グレコとベラスケスはともかく、アントニオ・ロペス・ガルシアは現存の画家で、Piccoはよく知りませんでした。
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何でもマドリード・リアリズムと呼ばれる一見写真と見間違うような画風です。
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寡作の画家だそうで、不思議な透明感のある画風でした。
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